水面跳弾原理

というわけで,昔の書物[1]を紐解いているわけですが,この本では最初に水面での跳弾についての説明がありましたので,採り上げてみたいと思います.

講習会などでは水面では跳弾が発生するから気を付けるようにと言われますね.このときの説明では,高速の物体から見ると水はコンクリートのように硬いため,はじかれるのだ,ということになっていたように記憶しています.ところが,これは間違いでした.

球体を水面に撃ち込んだときの振る舞いについて最初に研究を行ったのは Carl Ramsauer で,その論文[2]の中にはこのような記載があります.
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これによると,約620m/s で直径11mmの真鍮と鋼鉄の球を撃ち込んだとき,入射角が 6°29'より小さい場合は跳ね返る,それより大きいと潜り込む,という結果になったそうです.そしてこのとき,この境目の角度は球の大きさや弾速には関係なく一定になりました.ただし後年の研究でこれより大分早くすると若干この角度が大きくなると言う結果が得られているようですが,いずれにしても臨界角は7°くらいということですね.

で,このとき球の経路を見ますと,必ず水面から一度潜り込んでから上がってくるのです.要するに水面で跳ね返るのではなく,水中で揚力が発生することで上がってくるということです.これらは同じように見えても跳弾の原理が全く異なります.片や反作用で戻ってくるのに対し,本当は揚力で上がってくるわけですからね.尖頭弾でも同じような現象がおきますが,これについても面白そうなところを後で紹介したいと思います.

参考文献
[1] 磯部孝著:水中弾道の研究,東京大学出版局 (1975)
[2] C. Ramsauer, Über den Ricochetschuß, Kieler Dissertation, 1903, Der Einfluß freier Oberflächen und fester Wände auf schnell bewegte Kugeln im Wasser, Ann. Phys., IV Folge, Bd. 84, S. 721(1927)

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