マズルクラウンが重要な理由

過渡弾道とは弾頭が銃口を離れる直前から10cm乃至数十cmくらいまで進む間に起こる現象です.非常に短い間の現象ですが,そのあとの弾道に大きな影響を与えることが知られています.バレルの中を弾頭が進行している間は,後ろから高圧ガスによって押されています.弾頭の速さは,このガスの燃焼によって膨張する速さより当然速くはならないわけですが,すなわち弾頭が銃口を出た瞬間からしばらくの間は,銃口から吹き出す燃焼ガスや微粒子に押される形で加速を続けます.具体的には概ね口径の10倍程度の距離までは弾頭は加速しているという測定結果もあります.

このガス等の噴出は完全な対称性を持つわけではなくて,非常に複雑な運動をするため,これにより弾頭の進行方向が微妙に変化します.これを跳起角といって,実際に弾頭が進行する向きは銃身の向きとの間に差が発生するわけです.完全に同じところを狙っていても,着弾がずれることは射撃をしていれば必ず経験するわけですが,その原因の一つはここにあります.

よくライフルのマズルクラウンは傷つけないようにしなさいだとか,この銃のクラウンはラウンドだ,はたまた何度になってるだとか言うように,クラウンを重視する人が多いですが,それにはこのような理由があるわけです.

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