火薬学の基礎

図書館シリーズです.

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著者は立派な経歴の方なのですが,日本語の文章がちょっと変です.以前採り上げた新編火薬学概論の方が私には勉強になった感じ.でも力学の度合いはこっちのほうが大きいかな?まあ著者の専門が違うのでしょうね.直接火薬に関係していない一般的な化学分野の記述も結構あります.

この本から得られた知識で私が役に立ったと思ったのは,火薬のエネルギーは燃焼ガスの温度に比例し,燃焼ガスの分子量に反比例するということですね.前者は当然だけど,後者がなるほどと思いました.

シングルベース火薬はニトロセルロース(NC)が主成分ですね.発射力を増加させる,すなわち火薬エネルギーを増加させるには,燃焼ガスの温度が高くなるようにすればよいです.そこで生まれたのがダブルベース火薬です.これはニトロセルロースとニトログリセリン(NG)が主成分となります.反面,燃焼温度が高くなるので,銃腔を焼食してしまいます.そこでニトログアニジン(NQ)を足したのがトリプルベース火薬です.ニトログアニジンは燃焼温度がそれほど高くなく,水素ガスを発生させる物質で,これにより分子量の低い燃焼ガスを発生させることができます.

化学組成は製品によってかなり異なりますが,一例として下のような値(まるめています)が載っていました.

ダブルベース NC 77% / NG 20%
トリプルベース NC 28% / NG 23% / NQ 48%


ダブルベースとあまり変わらない発射エネルギーが得られるけれども,燃焼温度は低めに抑えられるというのが,トリプルベースの利点となるようです.

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この記事へのコメント

  • ともぞう

    主夫太郎さん

    もう返してしまったので,確認できませんが,ベクトル解析どころかベクトル自体なかったと思います.pv=nRT みたいな掛け算割り算くらいだったような.これとあれが比例するとか,そんな説明に使われる感じです.地元の図書館にあれば借りて見るくらいはいいかと思います.
    2021年04月16日 21:12
  • 主夫太郎

    ともぞうさん こんにちは

    おお!なんか面白そうですね。
    僕も読めるだろうか??
    簡単な力学とベクトル解析くらいしか知りませんが。
    読めるならどっかで借りてみようかな。
    2021年04月16日 12:09
  • ともぞう

    ヒロシさん

    火薬学って化学の中でも特殊な立ち位置ですよね.なので,日本では専門家も少ないようだし,専門書はほんと少ないです.その少ない本の中から図書館にあるのだけを読んでいるので,うちの図書館のは多分もう読破したかな.笑

    トリプルベースは性能が良いと聞くけど,なぜかが理解できてなかったので,今回それが分かって有意義でした.

    ちなみにこちらで入手できる火薬は多分シングルベースとダブルベースだけなのですが,トリプルベースって民生用には何があるのかな?と気になっています.もしそちらで販売されているのをご存じでしたら教えてください.日本でも私が気付いてないだけで,実は売ってるのかな?
    2021年04月15日 09:16
  • ヒロシ

    ともぞうさん、
    火薬って本当に奥が深いですよね。物質内容もさながら、外的な温度、圧力、薬莢の容積などたくさんの要素下で一瞬の燃焼による結果が望まれているのですね。本当にシビアなリロード部品です。だからいろいろな火薬を試しながら精度を上げていくのが面白く病みつきになってしまいます、笑。
    2021年04月14日 13:15