野生動物管理のための狩猟学

こちらも図書館シリーズです.

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日本では明治時代,林学の一分野として狩猟学があったそうです.当時の分野はなくなっていて,現在では野生動物管理の観点からの狩猟学が構築されています.研究の最前線で有名なのは農工大,酪農大,岐阜大あたりかな.この本の著者の皆さんの所属と一致しますね.

一方,この本に書いてあったことではないですが,ソビエト時代には狩猟大学が極東地域にあり,それは現在の日本の狩猟学よりも広い学術分野になっていたようです.植生学や鉱物学は当然で,当時は毛皮の利用も盛んだったことから,経済学などにも関係した一大学術分野だったわけです.それに比べると日本の狩猟学の分野はまだまだ狭いです.ただ趣味とは言え,狩猟に興味がある人が増えていますし,IT化の流れもありますから,いつか日本でも世界に誇れる狩猟学が成長するかも知れませんね.

さて,野生動物管理というのは,要するに増えすぎないように適度に獲ろうと言うことです.現状どうなっているか,そして海外での例を示して,日本ではどのようにすればよいか考えましょうって本ですね.皮算用だと思うところもありますが,でもやっぱり動かないと意味がないですから,こういうことを考えることは大事です.

この本で一つ面白いと思ったデータがあります.現在イノシシやシカが増えているのは,ハンターが減ったのが大きな原因の一つとされているじゃないですか.ところが1970年代にピークを迎えた狩猟者数に対し,(ハンターの増減に関わらず)捕獲数はずっと増え続けているのです(p.147 図6.3).ハンターが増えても猟場が増えるわけじゃないですし,まあいろいろ考えさせられますね.

ところで素人向けには「ハンターのススメ」というコラムが挟まれています.この中で,抗生物質とかを与えられずに自然に育ったジビエだから,健康的な肉だ!的なことが書かれています.が,実際は野生動物って全くエサの管理をされていないわけですから,何を食べているかは分からないわけです.大昔ならともかく,今は結構危ない個体も混ざっていると思いますね.屠畜場(なぜか変換出来なかったぞ)では獣医師が個体のチェックしているらしいですけど,猟場ではそんなことしてないわけで,あまり期待を持たせるような誇大なことは言わない方が良いかもしれません.実際,巻狩で獲ったイノシシは,解体時に大先輩が端肉で毒味をしてくれるのですが,そのときにダメなのもあるのです.具体的には里山だと殺鼠剤を食べてる個体もあって,その毒では死なないけれども,肉味には刺激があるそうです.ちょっと怖いですよね.そういえば,私も別のところでもらったものの中に風味のおかしなものがあった経験があります.そう考えると肉屋で買える肉は,おいしいし安全だと思いますね.笑

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